保護者のみなさま

老後2000万円問題をきっかけに考える、人生100年時代の老後資金と教育資金

2019年08月01日

窓辺の風景

■老後2000万円問題を振り返る



「人生100年時代」というフレーズは瞬く間に浸透し、多くの人が老後への意識を高めることとなりました。そんな中、「老後2000万円問題」が世を騒がせたことは記憶に新しいと思います。この問題は、金融庁の金融審議会市場ワーキンググループが「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を公表したことに端を発しています。事の経緯をおさらいしてみましょう。
ワーキンググループは、総務省の家計調査(2017年)という統計資料から「高齢無職夫婦世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の1か月の収入は209,198円、支出が263,717円なので、毎月54,519円の赤字」というデータをピックアップし、「65歳から30年生き続けるとしたら、単純計算で約2,000万円不足となり、この赤字額は自身の金融資産より補填することとなる」との見解を報告書の中で発表しました。
ただしきちんと読めば、「この金額はあくまで平均の不足額から導き出したものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合もありうる(以下略)」との補足があります。しかし、ここは無視されて、2,000万円という金額だけが切り取られ、あたかもすべての人が準備しなくてはいけない金額のように誤解されて問題となり、結果、政府内での議論が断ち切られることとなりました。
そもそも、収入が公的年金だけではゆとりある老後生活は厳しい、という認識はすでに広く浸透しています。今こそ公的年金を補完する自助努力について公私一体で議論を深める良いチャンスでしたので、事の顛末については非常に残念に思います。

■これだけは押さえよう! 老後必要額を算出する際のポイント

では、我が家に本当に必要な金額はどのようにして算出すればよいのでしょうか。
資料1の計算式でおおよその金額を出すことができます。ポイントは個別の状況をなるべく多く反映させること。より正確な金額に近づけることができます。

老後に必要な金額を算出する
※クリックでPDFを表示
特に、③の「年金などの収入」については、退職一時金の有無、あるとしたらその見込み額はいくらなのか。年金は基礎年金のみか、厚生年金や企業年金もあるのか。さらに専業主婦世帯か、共働き世帯かによって、世帯毎の合計年金額はかなり違ってきます。ねんきん定期便やねんきんネットで自分達の年金情報を確認し、平均額ではなく具体的な金額を掴むようにします。

■教育費が貯蓄額を左右する

④「老後資金としての貯蓄」については、すでにまとまったお金を老後資金として確保できている場合はその金額となります。しかし、それは少数派でしょう。まだまだ教育費にお金がかかる時期であり、今から手元資金を老後資金に振り分けてしまうわけにはいきません。
そこで、キャッシュフロー表を作成して退職時にどれくらい手元に残るか試算してみましょう。その金額を仮に④「老後資金としての貯蓄」とします。(注:退職時に教育費や住宅ローンの支払いが終了している場合に限る)当然、収入に対して教育費の負担が大きかった場合、その金額は少なくなります。③に入る金額を多くする(=老後に向けての積み立てをしっかりする)などの対処をしておかないと、結果的に資料1の「老後に必要な金額」が、膨らんでしまうことになります。
算出された「老後に必要な金額」をさらに準備するのは無理と判断した場合は、教育費も含めた家計の見直しやライフプラン全体の再検討が必要となります。

■教育費が終わってからでは遅すぎる老後資金の準備

教育費同様、老後資金も長い時間をかけてコツコツと貯めることが必要です。
ここ数年で、税制上優遇される少額投資非課税制度(通称:NISA、つみたてNISA)と個人型確定拠出年金(同:iDeco)の制度が整備されました。ほかにも公的年金に自ら上乗せするものとして、国民年金基金、個人年金保険、財形年金貯蓄などがあります。これらは老後のための長期の資産形成に向いています。
算出された「老後に必要な金額」をさらに準備するのは無理と判断した場合は、教育費も含めた家計の見直しやライフプラン全体の再検討が必要となります。
教育費の支出がピークで家計が厳しい時期に、さらなる貯蓄は難しいでしょう。しかしその期間は少額となってもかまいませんので、細く長く積み立てを続けることが大切です。

教育資金・老後資金積み立て額の例
※クリックでPDFを表示
実際、金融庁の報告書に関する報道がなされると、ネット証券等には20~40代の現役世代を中心に、NISAやiDecoの申し込みが急増、金融機関主催の資産運用のセミナーや個別相談には応募が殺到しているとのことです。
この機会に我が家の教育資金と老後資金のバランスを検証し、不安な点については早い段階で改善に向けて行動を起こすことが求められます。


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[大西 由紀乃]


大西由紀乃

■プロフィール 大西 由紀乃(おおにし ゆきの)


ファイナンシャル・プランナー(AFP)、住宅金融普及協会・住宅ローンアドバイザー

短大卒業後、大手電機メーカーに就職し、出産を機に退職。夫の転勤による海外赴任生活5年を含む約15年間の専業主婦生活の中で「主婦こそマネー知識が必要」と感じ、独学で資格取得。2010年よりファイナンシャル・プランナー。地元湘南地域密着のFPグループで、公立学校のPTA向け教育費セミナーなどを行う。現在は個人で活動中。「知らなくて損した」と後悔する人を少しでも減らすことが目標。目下、大学生の長女の教育費に向き合う日々。1児の母。

■所属団体
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
住宅金融普及協会


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