保護者のみなさま

よくある奨学金への誤解を解こう

2019年05月01日

月夜

前回のコラムで、高等教育無償化についてお話ししましたが(『「高等教育"無償化"制度」、わが家の学費もタダになる?』)、大学進学のためには、目標金額を設定して計画的に貯蓄することが必須です。
今や、大学進学のために奨学金を借りる家庭は50%を超えているといわれています。つまり、2人に1人は「借りる」ことが選択肢となっているのです。しかしこんなに利用されていながら、奨学金についての誤解が多いことが気になります。今回は、この誤解を解いていきましょう。

■「奨学金は借金じゃない」という誤解



いくら、奨学金の目的が「学費のため」で「みんなが借りているから」と言っても、奨学金が借金であることに変わりはありません。奨学金は、子どもが契約者となり、返済を担保するために、保証人を付ける、もしくは保証料を支払う機関保証を利用するという条件が必要であり、通常の借金の条件と同じです。
この「借金である」という常識が通用していなかったために滞納する方も多く、また、「定額返還方式」または「所得連動型返還方式」などの新設とともに、「所得が少ないときには返済も少なくできるようになった」という安心感がなぜか広がったようです。そもそも、この所得連動返還方式は、第一種奨学金のみに適用される制度ですし、奨学金が「免除される」制度ではありません。返済金額の総額は変更されないのです。

■「予約すれば、入学から卒業まで奨学金は借り続けられる」という誤解

学校は「勉強する場所」です。ただ、学費を親が全額支出することが難しくなっている現状では、不足分を子どものアルバイト代で補てんしているご家庭も多いですし、働くこと自体はとても良いことだと思います。ところが、働く時間がどんどん増すと、学業がおろそかになり、奨学金が打ち切られる可能性があります。
大学進学時に、奨学金が借りられたとしても、そのまま卒業まで借り続けられると限りません。学業を続けていくために、毎年「奨学金継続願」を学校に提出し、学校側は、「人物」「健康」「学業」「経済状況」について審査をし、奨学金継続の可否を認定し、日本学生支援機構に報告するのです。この適格認定により「廃止」「停止」「警告」の処置を受けてしまうと大変です。特に「廃止」であれば奨学生の身分を失います。「警告」では、奨学金の交付は継続されますが、学業成績をあげなければ、交付の停止、もしくは奨学生としての身分を失うこともあり得ることです。高校3年生の時に奨学金を予約採用すれば、それで収入が確保されるから大学入学から卒業まで安心というわけではありません。

■「奨学金の返済は、就職によって免除されることがある」という誤解

「学校の先生になったら、奨学金を返済しなくてすむから学校の先生になれば?」「公務員になったら奨学金を返済しなくてすむから公務員試験を受ければ?」という誤解を聞くことがあります。貸与型の奨学金を受け、免除となる方法はあるのでしょうか。
答えは、「ほとんど否」です。日本学生支援機構が定めている返済免除の理由は、死亡もしくは高度障害になったときです。高度障害とは、精神障害などかなりの重度な障害となりますので、ほとんどの方が該当しません。ほとんどの方が免除されないということであれば、借りた分を地道に返済する計画を立てておくべきでしょう。
一方、授業料免除制度というのは存在します。ただ、その条件は、入学試験の成績優秀者を対象とするものや、突然の親の失業による経済的理由とするものなど、学校によって対象者の要件が異なります。黙って滞納するのではなく、困った状況になった時にはあらかじめ事前の相談をしましょう。自治体によっては、奨学金の利子補給をしてくれるところもあります。民間企業で、奨学金を返済している社員を応援する制度が設けられている会社もあります。返済免除を模索するのではなく、返済のために使える制度を模索する方が建設的でしょう。

まだまだ奨学金に対する誤解は存在します。それなのに、保護者や学校側の意識が変わっていないことに、専門家として不安を覚えることはよくあります。お金の教育やキャリア教育は盛んになってきましたが、やはり「自分のこととして」実感できていない状態なのかもしれません。社会に出ていないので当然かもしれませんが、まず、受験時には成績のことだけではなく、卒業後の将来のことまで親子で話し合い、奨学金を借りるのであれば、このような奨学金の誤解を抱いたまま進学するということがないように切に願います。



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[當舎 緑]


當舎緑

■プロフィール 當舎 緑


社会保険労務士。行政書士。CFP®

とうしゃ・みどり●阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。
得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。
著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。

當舎 緑のホームページ
http://tosha.grupo.jp/

子どもにかけるお金を考える会メンバー
http://homepage2.nifty.com/moneychild/

一般社団法人かながわFP生活相談センター理事
http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/

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