祖父母のみなさま

国民年金はムダなのか? バラ色の老後に向けた準備は長期戦

2018年09月01日

千日紅と蝶

「公的年金なんて、どうせもらえないでしょう。」
これは、私が社会保険労務士として仕事をしていてよく耳にする言葉です。20代、しかも大学生にとっては年金なんてまだまだ先の話。実感がわかないのも当然です。でも、年金は老後だけに備えるわけではありません。若いころから年金に加入する意味を考えてみましょう。

■年金手帳を受け取ったらすべきこと



20歳になったら、お住まいの役所から年金手帳と振替用紙が届きます。この中には、基礎年金番号という大事な番号が入っています。普段この手帳を使うことは、ほとんどありませんが、働きだすときや転職するとき、夫(妻)の扶養(第3号被保険者と言います)に加入するときなど、長い人生で使う場面はいくつもあります。まずは、「年金手帳は大事なもの」という意識を持ってください。
次に、同封されている用紙を確認しましょう。平成30年度の国民年金保険料は月々16,340円ですが、保険料の支払い方法が選べるという手紙が入っています。1か月ごと、現金で月々保険料を支払うのか、それとも6か月や1年、2年などのまとまった金額で支払うのか、口座払いにするのか、クレジット払いにするのか、そして、学生だからこそ使える学生納付特例を使うのか、家族で話し合いましょう。

■年金の保険料の支払い方法でお得感が変わる

ひと月あたりの保険料は16,340円ですから、1年でなんと、196,080円も支払わなくてはなりません。年間約20万円の出費は痛いものですが、支払方法によりメリットが受けられます。
1年分を口座振替にすると191,970円で、4,110円もお得、現金やクレジットカード払いでも192,600円で3,480円のお得になります。しかもクレジットカードであれば、毎月ポイントも貯められます。ただ、まとめて支払う方法については、申し込みする期間が限られています。
また、保険料の納付を猶予してもらえる「学生納付特例制度」を使えば、保険料の支払いはしていなくても、国民年金に加入した期間とみなされますので、不慮の事故や病気になった場合でも、障害基礎年金を受け取ることが可能です。学生の時には、猶予してもらった方がよいという方もいらっしゃいますが、猶予は「今は支払わなくても、学校卒業後10年以内に追納してください。」という制度です。奨学金を受給中の学生が50%を超えている中で、更に追加の出費は大変かもしれませんが、支払うことで、国民年金保険料を負担してくれる家族の所得税や住民税を安くすることもできます。
今だけの損得ではなく、全体を見通した支払プランを考えることが大事です。どうせ支払わないといけないのであれば、お得感のある方法で支払いたいものです。

■働きだしたときにも覚えておきたい年金の手続き

働くようになったら、厚生年金の保険料を支払い、国民年金と厚生年金の2階建ての年金に加入することになります。公的年金制度は、「老齢」「遺族」「障害」の3つのリスクに対応することが可能です。
公的年金が将来受け取れないだろうからと言って、民間の保険にいくつも加入する方がいらっしゃいますが、もともと国民年金では、2分の1が国庫負担として税金が投入されていますし、厚生年金でも保険料のうち2分の1は、会社の負担です。民間保険の場合、給付の条件には細かい規定がありますので、条件が合致しなければ、掛金を払っていたのに、保険金が受け取れないという事態もあり得ます。ところが、公的年金の場合には、保険料の納付要件などいくつかの条件はありますが、「終身」年金が受け取れます。民間の年金のように、10年とか15年など、決まった期間がありません。
仕事を辞めた時、開業した時など環境の変化があったとき、健康保険以外の手続きはついおろそかになってしまいがちですが、年金の手続きは、空白の無いよう、しっかりと忘れないようにしたいものです。

公的年金の年金は、物価の変動によって影響を受けますし、現役世代が高齢者を支えている制度ですので、今後どんどん現役世代が少なくなることが予想されるなかでは公的年金だけで将来安泰とは言えません。しかし、何かあった時にこれだけのリスクに対応できる代替の民間商品はありません。
「年金はあぶない」「将来どうせ受け取れないだろう」という噂はありますが、国が運営している制度ですので、年金が0になることはないでしょう。バラ色の老後のためには、地道な準備は欠かせないものであり、その基本になるのは公的年金以外あり得ないのです。



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[當舎 緑]


當舎緑

■プロフィール 當舎 緑


社会保険労務士。行政書士。CFP®

とうしゃ・みどり●阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。
得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。
著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。

當舎 緑のホームページ
http://tosha.grupo.jp/

子どもにかけるお金を考える会メンバー
http://homepage2.nifty.com/moneychild/

一般社団法人かながわFP生活相談センター理事
http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/

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