受験生のみなさま

おうち実験室~親子で発見する算数と理科 第16回:美しさを伝える比~黄金比のお話~

2016年03月01日

新緑

比についてはこれまでにも実験などをしてきたので、比がものの性質などを伝えるということは実感してもらえたと思います。例えば第13回の「アイスクリームづくりで確かめよう! 味も伝えられる比」では、「牛乳:生クリーム:きび砂糖=5:2:1」を使えば量を増やしたり減らしたりしても、いつでもおいしいアイスクリームができることが分かりました。
今回出てくる比は特別な比で、黄金比という名前がついています。みなさんは、美しさを伝えてくれるというこの黄金比を知っていますか? 黄金比が使われている形を見ると、人は安定感や美しさを感じると言われています。

黄金比は「1:約1.6(1.618…)」という比ですが、どのようなものなのかはピンとこないですよね。まずは黄金比を体験してみましょう。

<準備するもの>
・工作用紙       1/2枚
・定規   1本
・コンパス   1個
・えんぴつ   1本

1.1辺が1センチメートルの正方形からスタート
半分に切った工作用紙を横長の向きに置いて始めます。下から5センチメートル、右から10センチメートルの点が正方形の右下になるようにして、まずは1辺が1センチメートルの正方形を描きます。その上に同じ大きさの正方形をもう一つ描きます。

1辺が1センチメートルの正方形を2つ描く
2.正方形を増やしていきます
ルールにしたがって正方形を増やしていきましょう。ルールは簡単です。今描いた正方形の1辺の長さと、一つ前に描いた正方形の1辺の長さを足した長さを1辺とする正方形を、反時計回りにつなげて描きます。今ちょうど1辺が1センチメートルの正方形を描きました。その前も1センチメートルでしたので、次は「1+1=2」で1辺が2センチメートルの正方形をつなげて描きます。

正方形を増やす
3.どんどんつなげてみましょう
次の正方形は「2+1=3」で1辺が3センチメートル、その次は「3+2=5」で1辺が5センチメートルの正方形になりますね。工作用紙に描けるだけ描いてみましょう。

正方形をどんどんつなげて描く
4.反時計回りに正方形の中に弧を描いていきます
工作用紙半分の大きさには、1辺が13センチメートルの正方形まで描けたと思います。次に、最初の正方形の左上の角を中心にしてコンパスで弧(こ)を描きます。2番目の正方形は同じ大きさでしたのでそのまま2番目の正方形にも弧を描きます。次に3番目の正方形は1辺が2センチメートルでしたが、右下の角を中心に半径2センチメートルの弧を描きます。同じように中心の位置と半径を変えながら、前の弧とつながるように弧を描いていきます。

美しいうずまき
美しいうずまきができましたか? 

5.1辺の長さについての法則
ここで1辺の長さについて整理してみましょう。1つめの正方形の辺の長さから並べてみると、1、1、2、3、5、8、13…となります。どれか一つ数を取り出して調べてみると、一つ前の数と取り出した数を足したものが次の数になっています。このようなルールで正方形を描いたのですから当たり前とも言えます。このように、ルールにしたがった数の並びを数列といいますが、特にこの数列はフィボナッチ数列という特別な数列で、中世イタリアのレオナルド・フィボナッチという数学者が発見しました。

6.フィボナッチ数列と黄金比
この数の並びをもう少しくわしくみてみましょう。となりどうしの数を調べて、右の数が左の数の何倍になっているか計算してみましょう。実はここに秘密の法則があるのです。
1と1 「1÷1」で1倍
1と2 「2÷1」で2倍
2と3 「3÷2」で1.5倍
3と5 「5÷3」で約1.667
5と8 「8÷5」で1.6
8と13 「13÷8」で1.625倍

だんだんと約1.6倍になってきましたね。もっと先まで計算すると、この数は約1.618倍に近づいていきます。つまり比で表すと1:1.618ということになり、これが黄金比の正体です。

さきほど描いた図を長方形に分けながら見てみましょう。黄色、オレンジ、赤、紫の4つの長方形は、それぞれ「短い辺の長さ:長い辺の長さ」が黄金比に近いものになっているはずです。みなさんは美しいと感じますか?

色分けした長方形
この黄金比は美しさを伝える比としてパリの凱旋門(がいせんもん)やミロのビーナスなど、さまざまな場所に使われています。でもどうして人はこの黄金比を美しいと感じるのでしょうか? 実は、生物学的な視点でみると、さきほど描いた長方形の図は植物が成長する時の細胞分裂(さいぼうぶんれつ)と周りの細胞の成長の様子にも似ているそうです。この黄金比は生き物が成長するルールに関係していて、それが本能的に人に安心感を与えるのかもしれませんね。


フィボナッチ数列について、
さらに詳しく知りたい人へのおすすめ本
『フィボナッチ―自然のなかにかくれた数を見つけた人』(2010年、さえら書房)
ジョセフ・ダグニース著 ジョン・オブライエン絵

どんな本なのかAmazonで見てみる
フィボナッチ数列を発見したフィボナッチその人について、美しいイラストと文章で知ることのできる本。
『フィボナッチ―自然のなかにかくれた数を見つけた人』表紙

少し難しいかもしれないけれど、
お父さんやお母さんの力を借りながら読んでみてほしい本
『波紋と螺旋とフィボナッチ:数理の眼鏡でみえてくる生命の形の神秘』(2013年、学研メディカル秀潤社)
近藤滋

どんな本なのかAmazonで見てみる
「生き物の形や模様がどうやって決まるのか?」について、フィボナッチ数列をはじめ"数学"を手がかりに楽しく解き明かしてくれる。
『波紋と螺旋とフィボナッチ』表紙


[中牟田 宴子]


中牟田 宴子

■プロフィール 中牟田宴子


家庭教育研究家。
九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。高2と中3の男の子の母。

なかむたやすこ ●大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。
2012年より東京大学大学院工学系研究科で工学教育にも関わっている。
2008年に立ち上げたNPO法人センス・オブ・ワンダーの代表も務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。

NPO法人センス・オブ・ワンダーのブログ
http://sense-of-wonder-2008.cocolog-nifty.com/blog/

子供と学ぶ家庭教育のススメ~家庭教育研究所 家庭で伸ばす子供の才能~
http://homeeducation.cocolog-nifty.com/blog/
「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果などをつづったブログです。

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