保護者のみなさま

子どもを本好きにするには?

2020年01月01日

本を読む小さな兄弟

読書は大切だとわかっていても、子どもは見向きもしない…。そういう家庭は少なくないのではないでしょうか。少し前の小学生とは違い、テレビだけでなく、おもちゃやゲーム、YouTubeなど、子どもにとって周りにはたくさんの刺激があふれています。自分の想像力や思考力を駆使して字を追っていく読書は、手間のかかるやや地味で退屈なものにうつっているのかもしれません。

■本を読むとはどういうことか
寺子屋をしていると、様々な子どもと話す機会があります。その中で、こんなことがありました。本が好きではない子が「本を読んだ」というので、どんな話だったか聞いたら「わからない」「忘れた」と答えたのです。これを読んで下さっている方の中にも、同じような経験をされた方がいらっしゃるのではないでしょうか。
大人からすると「本を読んだのに内容がわからないってどういうこと?」となるのですが、その子にとっては「最後までページをめくった」「字を読んだ」ことが「本を読んだ」と同義になっていました。
ですが、読書とは、その本に書かれていることを理解したり、追体験したりすること。さらに一歩進んで、自分の考えや意見が生まれていくのだと思います。ただただ字を追うことが楽しくないのは当たり前のことですよね。

■なぜ字だけを追ってしまうのか
字だけを追って読んだことにする子がいるのはなぜかと考えると、言葉が分からない、表現が分からない、誰が何をしているのかわからない(主述等の関係がわからない)など、言葉に対するイメージの貧弱さや文法の弱さが背景にあります。
それでも、学校や親から「本を読みなさい」と言われるから読んでみたものの、わからないことが多すぎて、本の内容が虫食いのようにしか頭に入ってこないのです。結果、「字を追っただけの読書」になってしまうのでしょう。つまり、そういう子たちは、「本当の読書」を知らないということになります。
本を好きになるために、親に何ができるかというと、「一緒に」「共有する」というのがキーワードです。好きではないことを1人でやるのは苦痛でしかありません。ましてや、前述したような「本当の読書」を知らないならなおのことです。

■小学生になっても読み聞かせ
子どもが嫌がらない限り、読み聞かせして大丈夫です。読み聞かせは小さい子だけのためのものではありません。子どもが好きな本を読むもよし、親が好きな本を読むもよし。親子で本に触れ合う時間を持つのです。子どもに「本を読みなさい」と言っている親がどれだけ自分の読む姿を見せているでしょうか。子どもにばかり「読みなさい」と押しつけるのでは、子どもも納得がいかないでしょう。それならば「一緒に」読書をしてしまえばいいのです。
子どもの思わぬ反応や感想に驚かされることもあるかもしれません。そこから空想が膨らみ、子どもらしい世界を親も楽しめるかもしれません。親子の間に流れるゆったりした時間は忙しい毎日の中で癒しの時間にもなるでしょう。

■親は言葉とイメージの橋渡し役を
読み聞かせにしても、ひとり読みにしても、子どもが本に書かれていることを全てちゃんと理解しているとは限りません。そこに心を配りましょう。これは、読書好きな子に関しても同じです。
まず「わからないところは聞いてね」と言っておきます。そして、わからない言葉や表現が出てきたときに、子どもと一緒に辞書を調べます。言葉のイメージがついていない子が辞書を使って、その意味やイメージ、用法を理解するのは至難の業。英単語の意味が分からないのに、英英辞典をひいても解決しないのを思えば、大人も想像しやすいでしょうか。助けがなければ、本の内容理解にたどり着けないので、親がそこをサポートするわけです。虫食い状態でわからないことだらけだった本を少しずつ埋めていく作業ですね。たとえ1つの場面だとしても、「そういうことか!」と分かった時、子どもはぱあっと明るい顔になるもの。それを積み重ねていきたいものです。

■興味のあるものすべてが読書のきっかけに
ゲームなんて、まんがなんて…と思ってはいけません。好きなものへ向ける子どもの情熱はすごいものがあります。そこに親がノッてあげるともっと盛り上がってもっともっとと子どもに欲が出てくる…というのはよくあることです。それを読書につなげるのです。
子どもの好きなことに関して親も詳しいケースと、そうでないケースとあると思います。そのどちらでも可能です。「全部説明するのは無理だけど、これならまとまっているからいいんじゃないかな」と勧めるのが前者、「全然ついていけないから調べてみた」と追いつこうという姿勢を示すのが後者。すぐに本に飛びつく理想的な展開は訪れないかもしれませんが、気が付いたら勧めた本を手に取っている、親が買って読んでいた本を知らないうちに読破されていた…ということが起きるかもしれません。
実際にあった例として、三国志のゲームにはまった男の子に毎回登場人物の関係を聞かれるお父さんが、全部の漢字にルビがふってある児童文庫をセットで買ったそうです。お父さんも歴史が大好きだったので、その知識を生かし、「今本人が読めるとしたらこれしかない」と選んだものです。学習まんが形式の物と迷ったそうですが、三国志が好きなら情報量が少しでも多い児童文庫にと考えたと。
今すぐ読むわけではなくても無駄にはならないかなと思って買ったとのことですが、その結果、難しい言葉はお父さんに聞きつつ読破! 前よりさらに三国志にはまった上に、他の歴史ものにも興味が出てきたそうです。父と子の会話に取り残されるのが嫌で、お母さんも三国志の児童文庫を読み始めたという後日談があり、ほほえましいなあと思ったエピソードです。

最初から本が好きな子は放っておいても読みます。でも、そうでないなら、本の世界の入口までぜひ親子で一緒に行ってみてください。できれば、その本の世界の中にも。子どもが本を好きになるかどうかはすぐにはわかりません。でも、「一緒に」「共有する」ことを意識することで、ただ「読みなさい」と押しつけるだけでは得られない、貴重な親子体験ができることでしょう。

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[しーままりん]


■プロフィール しーままりん


東京大学教育学部卒。
経済的に恵まれた環境とは言えない中、ひょんなことから中学受験を知り、都内国立中学へ進学。
都内国立高校を経て、東京大学現役合格。
学ぶことで将来の選択肢が増えることを、身を持って実感する。
金融機関等に勤務の後、現在は自身の夢であった寺子屋を運営。
また、生徒の保護者に限らず、周辺地域の小中学生の親からの学習相談にも対応している。

二児の母。
思うようにいかない子育てや家庭学習、寺子屋の生徒を通しての気づきなどを、都度、正直にブログに綴っている。
ブログ:ハピ勉したい!

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