保護者のみなさま

楽しみながら親子で学ぶためにできること【その6】―算数はどうしたらいい?

2018年02月01日

将棋盤と駒

中学受験の準備をしていると、学年が上がるにつれて算数に苦手意識を持つ子が多いといった話をよく耳にします。

以前にも書いたように「勉強ができる子は勉強をよくする子」だというのは算数も他の教科と同じだと思います(「毎日、勉強机に座る習慣」)。そして「勉強をよくする子」に育てるには、自信と意欲を育ててあげることが大切なことももちろん算数にもあてはまります。

ただ中学受験の算数が他の教科と違うところは、小学校の算数の授業の内容がしっかり理解できている子でも苦戦するような、難しい問題が出てくるところではないでしょうか。他の教科はできるのに、算数の問題だけがなかなか解けない、テストでも点数が取れないとなると、「算数は苦手だ」と思ってしまうのも無理はありません。でも苦手だと思ってしまうとどんどん学習意欲が減退してしまいます。
逆に子どもが学習意欲を維持して根気よく取り組むことができれば、少しずつですが必ずできるようになります。高いハードルが待ち受けている算数を克服するには、他の教科以上に子どもの「自信と意欲」を維持できるかどうか、にかかっていると私は思います。

中学受験の算数が得意な子というのは算数が好きな子だと思います。もう少し具体的に言うと「頭を使って難しい問題を解く快感」を知っている子ではないでしょうか。そういう子は難しい問題と対面したときに「何とか解いてやろう!」と奮起できる、いろいろと考えて試行錯誤しながら根気よく取り組むことができるのです。
いろいろと自分で考え、いろんな解き方を試した子は、たとえ自分で解き切ることができなくても模範解答を見たときに「なぜ自分の考え方では解けなかったのか」を知ることで解答のためのポイントを押さえることができ、自分に足りなかったものを効率よく吸収できるのだと思います。また解くことができた場合でも、模範解答を見て「もっと効率のいい解き方があった」と気づくことができます。そして繰り返し問題演習をすることで確実に自分のものにしていくことができるのです。

算数が好きな子に育てるために「頭を使って難しい問題を解く快感」を親子で楽しみながら経験する方法はないものでしょうか。

ひとつ私がヒントにしたのは、高校生のときの数学の先生の言葉です。数学科の大学院を卒業してすぐに着任した新米の先生でしたが、その先生が最初の授業で「数学をなぜ勉強するのか、それは論理的思考力を高めるためである」と語ったのを今でも鮮明に覚えています。日に日に難しくなる数学の勉強、「こんなもの将来何の役に立つのだろう」という、その素朴な疑問に答えてくれる言葉でした。

それを逆手にとると「論理的思考力」を育てれば数学(算数)はできるようになる。だから「論理的思考力」を育てるために、親子で楽しみながらできることはないか。そうやって少し広い視野をもって探し出せばよいのではないかと思います。
将棋や囲碁はもちろんそうですし、例えばパズルや迷路、推理クイズ、トランプなどのゲームも論理的な思考力を必要とする要素が多分にあります。トランプの「神経衰弱」といった単純なゲームでもスペード、ハート、クローバー、ダイヤモンドの4種類がそれぞれ13枚ずつあるということを頭に入れて、今まで出てきたカードを記憶し、伏せてあるカードが何かを推測するわけです。そうやって「頭を使うことの楽しさ」を子どもに伝えることができれば、難しい問題に直面しても「何とか解いてやろう」、そういった意欲が育つのではないでしょうか。

「神経衰弱」を子どもと一緒にやると、子どもの記憶力に圧倒されると思います。大人が相手でもいい勝負になるので子どもは大喜び、ぜひ親子で楽しんでみてください。子どもは気に入ると同じことを何度でもやろうと言ってきます。大人はすぐに飽きてしまうかも知れませんが、そこは子どもの意欲を育てるためと思って、とことんまで付き合ってあげてください。

もうひとつ私が思うのは、単純な計算問題でも論理的思考力は育つのではないかということです。例えば、筆算の手順を客観的に眺めると、非常に論理的なプロセスであることは明らかです。これを繰り返して習得することで、計算が早くなるだけでなく論理的な思考力も育っているのではないでしょうか。

というのも私や息子が留学した国の学校と比べると、数学に関してはどうも日本の学校のレベルの方が高いと感じるのですが、これは欧米諸国では早いうちから授業で計算機を使うことと無関係ではないような気がするのです。一方、少し前に「インド式計算法」という2ケタ以上の掛け算や割り算でも簡単に暗算ができる計算方法が話題になりましたが、IT業界などの技術分野に多数の人材を世界中に送り出しているインドでは、「好きな教科は数学」という生徒の割合が男女を問わず非常に高いという話を聞いたことがあります。

そういう意味で、「百ます計算」はその計算問題にエンタテイメント性を持たせたすばらしいアイデアだと思います。「百ます計算」に限らずゲーム性のある計算問題はいろいろあるようですから親子で勝負するのも楽しいかも知れません。

さて、算数を克服するためにお伝えしておきたいことがもうひとつあります。それは算数の文章題を解けるようになるためには、2段階のステップが必要だということです。まずは「問題が何を問うているのかを理解すること」です。そのステップをクリアして初めて「問題が問うていることに解答する」ことができるようになるのです。
息子と一緒に中学受験に取り組んだ私の経験上、「難問に手も足も出ない」というときはたいてい「問題が何を問うているのか」を正しく理解できていないことが多かったと思います。 この状況を子どもだけで克服するのは難しいので、大人がついてあげて、その子のペースで時間をかけて丁寧に解説してあげる必要があります。
家庭教師や個別指導でもいいのですが、私が一番いいと思うのはやはり親子で、「この問題はこういう図を描くとわかりやすいよ」とか「お父さん(お母さん)はこうやって解いたけど、その解き方の方がいいなあ」などコミュニケーションをしながら一緒に取り組むことです。問題を解くだけでなく算数の問題についていろいろと会話をする、自分の考えを他人に説明する、そういう経験を積むことで、問題が何を問うているのかをすぐに察することができるようになるのではないかと考えています。

決して「上から目線」ではなく、親子で一緒にパズルやクイズを解く感覚で楽しんでみてください。実際「虫食い算」のように、中学受験の算数はパズルみたいな問題も多く、慣れてくれば大人にとってもいい頭の体操になります。

特にお子さまがまだ小さい方は準備する時間の余裕がありますから、できるだけ分かりやすい解説がついている中学受験の算数の問題集を入手して、まずは親が取り組んでみることをおすすめします。正直に言うと私も最初は解き方が全く分からなかったり、解くのにやたらと時間がかかったりしましたが、しばらく取り組んで慣れてくるとたいていの問題は解けるようになりました。どんなに難しく思えても、やはり小学生が解く問題なのです。

お子さまが小さいうちから親が取り組んでいると、「お父さん(お母さん)何やってるの?」と興味を持って見にくるかも知れません。そうなればしめたもの、子どもの学習意欲をかき立てるチャンスだと思います。

高学年になったら子どもと一緒に取り組んで、どちらが先に解けるか競争するのもいいでしょう。息子が私に勝ったときの得意顔は今でも鮮明に覚えている楽しい思い出です。持論かも知れませんが、「親子で一緒に勉強を楽しむことができる」、これが中学受験をする最大のメリットだと私は思っています。

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小学生のうちに身に付けておきたい力【その1】―毎日、勉強机に座る習慣
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我が家の子育てと教育方針【その1】―中学受験をしてもバイオリンを止めずに続けさせた理由
我が家の子育てと教育方針【その2】―自分の考えを持つということ
我が家の子育てと教育方針【その3】―楽しませることの大切さ
我が家の子育てと教育方針【その4】―社会性が何よりも大切
我が家の子育てと教育方針【その5】―人とは違うことをするということ
楽しみながら親子で学ぶためにできること【その1】―とにかく実物を見せること
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楽しみながら親子で学ぶためにできること【その4】―生き物を飼ってみる
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[かずとゆか]


■プロフィール かずとゆか


フルタイムの共働き夫婦。執筆担当の夫はずっと塾には通わず公立小中から県立高校を経て東大・京大現役ダブル合格。高校在学中には交換留学生としてオーストラリア・クイーンズランド州に1年間滞在した。東京大学工学部卒業後、外資系証券会社に入社、数社を渡り歩き現在に至る。
取材担当の妻は都内私立中高一貫の女子校から私立大学工学部卒業の当時は希少だった理系女子。邦銀のロンドン拠点赴任を経て現在は外資系証券会社に勤務。仕事は絶対に辞めないというこだわりのもと子育てや家事との両立を目指している。子育てが一息ついた現在は社内の東北被災地ボランティアを通し社会貢献にも努めている。
勉強は塾に行かなくてもできるという信念から、息子も大手進学塾には通わずに中学受験に挑戦。少年野球とヴァイオリンを最後まで続けながら都内国立中学に合格した。ブログ「大手進学塾に行かない共働きの中学受験」、著書「小学生生活を犠牲にしない中学受験」を通して健全な小学生生活を犠牲にしない中学受験を提唱。

大手進学塾に行かない共働きの中学受験
http://chugakujukenmgmt.blog.fc2.com/

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