保護者のみなさま

我が家の子育てと教育方針【その5】―人とは違うことをするということ

2017年08月01日

キリン

どうして私たちが息子に大手進学塾に行かずに中学受験させることを選択したのか、どこからその発想が出てきたのか、疑問に思われている方もいらっしゃるでしょう。確かに中学受験をするなら「まずは塾選び」と言われるほど大手進学塾に通うのが普通ですし、小学生らしい生活を犠牲にしたくないのであれば中学受験そのものを選択しないのが普通なのかも知れません。

小学生らしい生活をさせることが何よりも大切だと考えていた一方で、中学校の学校説明会に参加して魅力を感じたという経緯は今までブログや本にも書いてきた通りなのですが、もうひとつ考えていたことがあります。それは誰も選択しない「人とは違う」方法で挑戦するからこそ、「得るものが多い」中学受験にできるのではないか、そう思っていたということです。

大学受験の勉強はいろんな面で自分を成長させてくれたと私は思っています。でもそれは自分の実力を伸ばすには何をすればよいか、自分に今足りないものは何か、あくまでも自分で考え、いろいろと試行錯誤しながら自分なりの勉強方法を確立する過程があってこそだと思うのです。

せっかく息子の大切な時間を使って中学受験をするのですから、合否にかかわらず「得るものが多い」経験にしたかったのです。みんなと同じ塾にいって、みんなと同じ課題をこなす、それでは「みんなと同じ程度」の結果しか出ないでしょうし、合否以外に得るものが少ないのではないかと考えたのです。

他人に流されず、自分で考え「人とは違うこと」をしたらよい結果が出た、そんな実体験があれば、これからの人生のいろんな局面においても他人に流されず、自分で考えることができる人間に育ってくれるのではないか、そのような期待もしていたのです。

私たちの今まで生きてきた道を振り返ってみても、「人とは違うこと」をしてきたことがことごとく私たちの人生をいい方向に導いてくれてきたことに気付かされます。

例えば私が高校生のときに留学したことがそうです。休学するので帰国後に1年下の学年に入ることはかなりのデメリットと友人には受け止められていました。正直に言うと私自身も当時はかなり不安でしたが、高校を卒業してからも交流が続いているのは、むしろ帰国後に一緒になった1年下の学年の友人の方が多いぐらい、その学年にもなじむことができましたし、1年早く卒業した友人もほとんどが浪人したので大学ではまた同期になるなど、後から振り返ってみると当時心配していたことは本当に些細なことでした。それに比べると留学することで自分の視野が広がり、語学力もついたことが大学受験や就職活動にもかなり有利に働いたなど、「留学してよかったこと」は数えきれないほどあったのです。

「女子は四年制より短大の方が就職には有利」と言われていた時代に、女子校から四年制大学、しかも理系、それも工学部に進学した妻もそうです。大学入学当時は周りからいろいろと言われたそうですが、男女雇用機会均等法のタイミングとも重なって、希少な存在だったからこそ海外赴任などいろんなチャンスをもらえたし、そのチャンスを活かしたことが今にもつながっているのです。

私たちが「人とは違うこと」をするべきだと考えるようになったもうひとつのきっかけは、海外で生活をした経験です。向こうに行って実感したことですが、外国人はみんな個性豊かで、日本人の感覚からするとみんな「とっても変わった人」に見えるのです。みんなそれぞれが「わが道を行く」といった感じで、他人にどう思われるかなんてまるで気にしていないのです。

そういう環境に身を置いてみると、「他人に自分がどう思われているか」ということを異様に気にして、周りと同じことをしようとする日本人の気質の方が異常に見えてくるのです。よく考えると、一人ひとり違う人間なのですから、違うことをして当たり前なのです。一人ひとりが違うことをしてそれぞれが幸せであればそれでいい。他人と比較するから「勝ち組」「負け組」なんて言葉が生まれるのです。

そしてもうひとつ私たちが気づいたことは、日本では「周りの目を気にして周りと同じことをしようとする人」が多いからこそ、「人とは違うことをする」ことで得をすることが多いということです。ちょっと視野を広げて「人と違うこと」に目を向けると、意外と「おいしい話」が転がっていることもあるのです。

例えば就職活動では、いわゆる「人気企業」には高学歴の学生が殺到し、採用されるまでも大変だし、採用された後も厳しい競争が待っています。でもよく見てみると就職活動における「人気企業」は、一般消費者になじみのある企業に偏っていて、むしろ国際的にも競争力のあるB2B(企業間取引)における優良企業は意外と人気がなかったりするのです。そういう会社はおそらく「人気企業」よりは比較的入りやすいですし、入ってからも大事にしてもらえます。重要な仕事を任せられて、将来、幹部になれる可能性も「人気企業」よりは高いはずですし、優良企業ですから処遇もいいのです。でも「周りの目を気にする人」は、周りの人が知っている「人気企業」にこだわってしまい、一般的には知名度の低いこのような会社には目がいかないのだと思います。

「人と違うことをする」というのは単なる「あまのじゃく」ではありません。「人と違うこと」といっても無数に選択肢はあるわけで、その中から自分の進むべき道を選ぶのですから、広い視野をもって「自分で考える」必要があるのです。

成功した起業家は今までになかったものを作り上げた人たち、つまりリスクを取って「人とは違うこと」をしてきた人たちです。ノーベル賞受賞者もそうです。みんなと同じことをやっていて「新しい発見」なんてできるわけがありません。スポーツの世界もそうだと思います。厳しい競争の中、みんなと同じ練習をしているだけではだめ。「人とは違うこと」をしないと「人とは違う結果」は得られない、当たり前のことだと思います。

これからは変化の時代です。「みんなと同じ道を選んでおけば無難だろう」そんな道が一番危うい道かも知れないのです。広い視野を持ち、常に自分で考えて自分で進むべき道を選ぶ、それができていれば予期せぬことが起きても、うまくその変化に適応してたくましく生きていける。「予期せぬことが起きてもなんとかなる」そういう自信を身に付ける方が、「今までは安定していた職業」に就くより、よほど「安心」なのです。

“かずとゆか”さんのこれまでの記事 今月の"家族のテーマ"バックナンバー
小学生のうちに身に付けておきたい力【その1】―毎日、勉強机に座る習慣
小学生のうちに身に付けておきたい力【その2】―自信と意欲
小学生のうちに身に付けておきたい力【その3】―知的好奇心
小学生のうちに身に付けておきたい力【その4】―コツコツとがんばる力
我が家の子育てと教育方針【その1】―中学受験をしてもバイオリンを止めずに続けさせた理由
我が家の子育てと教育方針【その2】―自分の考えを持つということ
我が家の子育てと教育方針【その3】―楽しませることの大切さ
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[かずとゆか]


■プロフィール かずとゆか


フルタイムの共働き夫婦。執筆担当の夫はずっと塾には通わず公立小中から県立高校を経て東大・京大現役ダブル合格。高校在学中には交換留学生としてオーストラリア・クイーンズランド州に1年間滞在した。東京大学工学部卒業後、外資系証券会社に入社、数社を渡り歩き現在に至る。
取材担当の妻は都内私立中高一貫の女子校から私立大学工学部卒業の当時は希少だった理系女子。邦銀のロンドン拠点赴任を経て現在は外資系証券会社に勤務。仕事は絶対に辞めないというこだわりのもと子育てや家事との両立を目指している。子育てが一息ついた現在は社内の東北被災地ボランティアを通し社会貢献にも努めている。
勉強は塾に行かなくてもできるという信念から、息子も大手進学塾には通わずに中学受験に挑戦。少年野球とヴァイオリンを最後まで続けながら都内国立中学に合格した。ブログ「大手進学塾に行かない共働きの中学受験」、著書「小学生生活を犠牲にしない中学受験」を通して健全な小学生生活を犠牲にしない中学受験を提唱。

大手進学塾に行かない共働きの中学受験
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