祖父母のみなさま

高齢出産と教育費の関係―老後資金にしわよせがいかないよう注意

2020年09月01日

赤ちゃんと母親の手

1985年の男女雇用機会均等法の施行以降、女性の社会進出は進んだように見えます。仕事を頑張った結果として、初婚年齢が30歳代となることは珍しくはないといっていいでしょう。
夫婦ともにバリバリと働く共働き家庭も増えているので、当然家計は楽になるはずなのですが、結婚して子どもを育てていくうちに、家計に余裕がなくなってしまうご家庭があります。晩婚で高齢出産をした場合の教育費は計画性がとても大事です。今回は高齢出産をされたご家庭が教育費を準備する場合の注意点についてお話ししましょう。

■「子どもの進学ルート」の想定がはじめの一歩



ここ数年、子どもの就学援助や奨学金など、教育費を援助してくれる施策が次々に出てきています。ただ、援助といっても、すべての教育費が無料になるわけではありませんから、「これで教育費は安心、心配事はなくなった。」という保護者からの声はほとんど聞かれません。日本では、子どもの教育費の負担が重いという現状に変化はないのです。
晩婚のご家庭では、夫婦ともに高学歴な場合も多く、自分の子どもにはできるだけ高等教育を受けさせてやりたいという希望をお持ちのことも少なくありません。しかし、高等教育にはそれなりの費用が必要となります。
教育費の準備は、進学ルートをあらかじめ考え、トータルの教育費の大枠を決めておくというプロセスがはじめの一歩です。この場合、中学進学時か高校進学時、もしくは大学進学時のどこで私立に進学させてもいいのか、少し幅を持たせておくことが重要です。ファイナンシャルプランナーという仕事を続けていてわかったことは、「思ったよりも教育費はかからなかった」とおっしゃるご家庭はほとんどないのだということです。

■高齢出産に潜むリスクのおさらい



高齢出産といっても、30歳代で出産することは珍しくありませんし、40歳代で出産され、元気に子育てをされている方もたくさんいらっしゃいます。今は年齢にとらわれず、自分のライフプランをしっかり考えられるという意味ではいい時代です。
ただ、教育費を準備するうえで忘れてはいけないのが、「親の介護と重なる」もしくは「自分の老後準備に重なる」時期には貯蓄がほとんどできないという点です。また、共働きであったとしても、親の介護が重なれば、夫婦の一方が離職しなければならないこともあります。そうなれば収入もダウンし、さらには、介護費用がかかってくると支出が下げられず、十分な教育費の準備ができなかったということにもなりかねません。また、教育費は何とかなると思い込んで、費用がかさんだ挙げ句、自分たち夫婦の老後資金の準備が全くできていなかったということも想定できます。
夫婦共働きで、お財布が二つある、もしくは、夫が毎月決まった金額を妻に支給するのみで、妻が家計のお金の総額をきっちりと把握していない、こういう場合には特に注意が必要です。貯蓄は互いがそれぞれに行っていると勘違いし、たまっている「だろう」という思い込みで、実は準備されていないという状態が一番怖いリスクといえます。

■教育費の準備ってこれからでもできる?



このコラムは、「中高生のお子さんがいるご家庭」向けですから、今後、大学あるいは専門学校進学のための教育費を準備できる期間は10年に満たない方がほとんどでしょう。0歳からコツコツと始めていただければ、児童手当の積み立てだけで、本来200万円貯蓄することは可能ですが、子どもが小学生、中学生もしくは高校生から大学進学までの期間を考えると、既に児童手当は生活費に使ってしまったというご家庭もあるでしょう。
今後できることとして、お子様が15歳に達していないときには15歳まで「児童手当は、生活費とは別枠で貯蓄する」「お祝い金やお年玉など、親族からの贈与を最大限利用する」「家計の中で、教育費準備口座を別に準備する」という3つの提案をしたいと思います。
まず、児童手当は使ってしまわないように、家計とは別にする必要性はすぐ理解していただけるでしょう。
次に、親族からの贈与の有効活用ですが、今は少子化で、子ども一人当たりに祖父母、親、親の兄弟(おじ、おば)の財布からお金が集まる「シックスポケット」と言われている時代です。出産祝いにはじまり、入学祝い、お年玉、誕生日祝いなど、節目節目でお祝い金をもらう機会があると思いますが、できるだけ教育費の準備のために貯蓄しておきましょう。
最後に、教育費の管理は別の口座を作るということですが、これはしっかりと教育費がたまっているのか、どれくらいたまったかを視覚化させて、計画的に使うためです。

繰り返しにはなりますが、高齢出産の場合には、先に教育費として多額の出費をしてしまうと、自分たちの老後資金の準備が間に合いません。令和2年度、厚生労働省から発表された夫婦2人分の年金額は220,724円(40年間夫が働き、妻が専業主婦だった場合)ですが、少しゆとりのある生活をしたいなら、これでは不足するのは明らかです。
老後資金準備として有益なのは、NISAやiDeCo、確定拠出年金、基金などが考えられます。老後資金なんて子育てが終わってから準備すればいいと思っている方も多いのですが、老後資金の準備は長期間の準備が原則です。もし40歳で出産すると、子どもが20歳になるとき、自分は60歳。60歳から準備を始めるのでは遅すぎます。遅くともせめて50歳代前半から準備を始めたいものです。

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[當舎 緑]


當舎緑

■プロフィール 當舎 緑


社会保険労務士。行政書士。CFP®

とうしゃ・みどり●阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。
得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。
著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。

當舎 緑のホームページ
http://tosha.grupo.jp/

子どもにかけるお金を考える会メンバー
http://homepage2.nifty.com/moneychild/

一般社団法人かながわFP生活相談センター理事
http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/

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